今回は、株式会社ジー・テイストを分析してみました。外食事業で、自社ブランド43業態、約700店舗を展開しています。とりあえず吾平、村さ来、焼肉屋さかい、平禄寿司などのお店名の方が有名かもしれません。そして、英会話学校NOVAのフランチャイジーです。普通の飲食業特化型の会社ではなさそうです。
2014年3月期までの10年間を分析してみました。(2014年から連結)
企業力総合評価は55.02P→111.25P→114.97P→108.84P→108.04P→84.78P→69.67P→115.24P→113.09P →101.12Pと推移しています。60ポイント以下が破綻懸念領域ですから、2005年、2011年あたりは厳しい経営状況であったことでしょう。
このジー・テイストは、業績の良くない会社を引き寄せます。以下は吸収合併した会社(グローバルアクト、さかい、ジー・ネットワークス)、フランチャイザーをしている会社NOVAの分析です。
ジー・テイストの営業効率(儲かるか)は、2005年、2011年は赤信号領域にあります。しかし、翌年、青信号領域に一気に改善していっております。この反発力は見事です。(青矢印)
資本効率(資本の利用度)も同様の動きをしています。
生産効率(人の利用度)は、赤信号領域に嵌っています。飲食業は、業界平均値以上であったとしても、赤信号領域に嵌ります。SPLENDID21の分析がおかしい訳ではなく、飲食業は経営が不安定な会社が多いと言われる所以なのです。業界平均を超えても安心ではなく、更にどう上げるかを志向しなければなりません。SPLENDID21の分析は、何を意味しているかを考えなければ、答えは出ません。
資産効率(資産の利用度)は青信号領域、グラフの変動が激しいようです。このような会社は総資産の変動が大きい会社が多くみられます。吸収合併をしている事実がそれを物語っています。
流動性(短期資金繰り)は、10期連続赤信号領域です。飲食業は流動性が赤信号領域になること多くあります。業種的に、売掛債権、棚卸資産が少なく、現金預金も少なく経営できる為です。業界平均以上でも赤信号領域にあることが多く、生産効率同様のことが言えます。
安全性(長期資金繰り)は、変動しながら青信号領域を改善トレンドです。
如何でしょうか。SPLENDID21NEWSを良く読んでいらっしゃる方は、ジー・テイストのバイタリティに感心する反面、もう少し、企業力をつけてから、業績の悪い会社を引きうける方が、良いのではないかと思われるのではないでしょうか。企業力総合評価が110ポイント程であれば、業績が悪化すればあっと言う間に80~100ポイントの黄信号領域になってしまいます。
業績の悪い会社のM&Aは入手コストが低く、規模拡大に効果がありますが、全体のバランスを見れば、一時的に成長とは反対の方向に進みます。
最後に営業効率の各下位指標を示しておきます。2013年までは個別財務諸表、2014年は連結財務諸表を分析しています。
横に数字を追いかけて行くと、利益率を急改善させることが上手で、その為、業績の悪い会社を立て直す自信を持った会社と推察されます。
まとめ
今日は、ジー・テイストを「鳥の目」で遠くから眺めてみました。
財務分析はどちらかと言えば、「虫の目」、近くから細部を見る分析です。しかし、それのみでは大きな傾向を見逃す可能性があります。
ジー・テイストは、企業力はそれほど高くはないけれど、V字回復をするバイタリティにあふれ、業績の悪い会社をM&Aすることで成長を目指していることが分かりました。
優良企業同士のM&Aを果たした、日本レストランシステムと、ドトール・日レスHDの分析を載せます。貴方なら、どちらの経営に魅力を感じますか。
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